予防歯科診療
ドクターよりメッセージ
そもそも、むし歯や歯周病にならなければ、歯が痛むことも、歯を失うこともありません。歯を削られたり治療に通うこともりません。
毎日のケアと、年に数回、定期的な歯科医院の受診で歯の健康を保っていくことで、生涯にわたってご自身の歯で噛めるようにしていくことが可能となります。
定期検診・メインテナンスの必要性
歯の健康を保つためには、歯科医院で行う「プロフェッショナルケア」と、歯科医師や歯科衛生士の指導に基づき、ご自身で行う毎日の「セルフケア」をきちんと行っていくことが大切です。
これらをしっかりと実践し、むし歯や歯周病ができる前に予防していくことは、歯を守ることはもちろん、健康寿命の延伸や、将来的な医療費の負担の軽減にもつながっていきます。
歯の健康を守る「予防」のために、定期的な検診をおすすめしています。
高齢になった時の残存歯数は?
日本人の70歳のときの平均残存歯数は8本といわれており、自分の歯だけではしっかり噛めないという方がかなり多いのが現実です。
大人の歯の本数は親知らずを含めて32本、すべての親知らずを抜いてしまった場合で28本です。予防歯科の先進国と言われているスウェーデンでは、70歳のときの平均残存本数は20本といわれています。ほとんどの歯が残っており、70歳になっても自分の歯で食事を楽しめているようです。
残存歯数の違いに予防が関係?
残存歯数の違いは、予防に対する考え方の違いがあります。日本人は、「痛くなったら歯医者に通う」と思っている方がほとんどですが、予防先進国では「痛くならないように定期的に歯医者に通う」という考え方が生活習慣として根付いています。
このことは、定期検診の受診割合の結果に現れています。
定期メインテナンスの有効性は科学的に証明されています
予防歯科の権威である、スウェーデンのアクセルソン博士とリンデ博士が出した論文では、257名に対し、年2〜3回のクリーニングとフッ素塗布を30年間継続し、その間に、どの程度歯を喪失したかを研究した結果、30年間で平均0.9本しか歯を失わなかったという結果が出ました。何もしなかった場合は、7.1本も歯を失っていたのです。
定期的に歯科医院でメインテナンスを受けることは、歯を残すために有効であることが科学的に証明されたのです。
定期検診の主な内容
むし歯チェック
初期段階のむし歯は人の目では見つけづらかったり、歯と歯の間でゆっくりと進行しているむし歯があったり、 治療した歯でもその近くに新しいむし歯ができたりすることもあります。専門的な立場の人が見ないとわからないものが多いので、 しっかりとむし歯のチェックをさせて頂きます。
歯周病チェック
歯周ポケットといわれる歯のまわりのポケットが深いと、歯周病になります。歯周病はポケットが深くなり、 柔らかくなると歯が抜け落ちてしまうので、硬い状態が健康的です。歯周病になりかけている人は、ポケットの深さを測るだけで血が出てしまうこともあるかもしれません。
ブラッシング指導
染め出しチェック
歯垢(プラーク)は、むし歯や歯周病の原因ですが、これをきれいに取り去ることはとても難しいことです。 どこにプラークがつきやすいかをチェックするために、歯垢の染め出しをして、歯垢を綺麗に取り除きます。
歯石取り
歯石を取ろうとすると痛がる人もいますが、放っておくと歯肉を圧迫するなどして、 歯周病を引き起こす原因の一つとなります。自分で取ることは難しいので、歯科医院できちんとケアをしていきます。
歯科相談
むし歯や歯周病についての悩み事以外でも、相談に乗ります。顎の痛み(顎関節症)、 噛むこと(摂食)、飲み込むこと(嚥下)についての指導や治療、要介護者のお口の中のケアなどについても気軽に相談してください。
口腔粘膜チェック
口の中や舌、唇、口角などの粘膜にできる炎症(口内炎)には、口の中やその周りに原因があるものと、 全身的な原因があるものとがあります。また、口腔粘膜の異常は、口腔がんなどの病気の可能性もありますので、口の中の粘膜の状態をチェックします。
PMTCの流れ
PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)
PMTCとは、
「P:プロフェッショナル=専門家による」
「M:メカニカル=専用の機械を用いた」
「T:トゥース=歯の」
「C:クリーニング=クリーニング」
の頭文字です。
自分では日々のブラッシングでプラークコントロールができているつもりでも、歯ブラシの届きにくい部分や、歯と歯のすき間、歯周ポケットなどには、磨き残しができていることが多いです。これを放っておくと、歯周病やむし歯、口臭、全身疾患などの原因となります。そのため歯科医院を定期的に受診し、プロによるクリーニングを受けることをおすすめしております。